第16章 動き出した真相
小「みんなに聞いて欲しい話があってね」
テーブルを囲むように座ったみんなにソウがハーブティーを配り終えると、社長が話を切り出した。
それはまさに、さっきミツが話すのを躊躇っていた事で、愛聖がここにまだ戻らないと決めた理由でもあった。
小「そういう事だから、もう暫くは愛聖さんは寮での生活から離れる事にした。これは彼女を守ることでもあって、そしてキミたちを守る事でもあるから」
「話は分かった。けど、そういう事態が愛聖の周りで頻繁に起きるかも知れない事を考えたら、オレたちと一緒に今まで通りに生活してた方がいいんじゃないのか?って、思うけど」
もし、何かあった時にこっちサイドの人間がいる方が被害は小さいだろうと思って言えば、社長もそう考えたけど、決めたのは愛聖自身だからと言ってカップに口をつけた。
「愛聖、前にオレが言ったこと覚えてるか?」
『・・・はい。でも、』
「でも、じゃない。あぁ、それからオレは怒ってる訳でもないから普通に聞いてくれればいいんだけど。前に言ったろ?どんな小さな事でも、オレたちを頼れって。だから、今回のことだって大事には至らないとしても、歩み寄ってくれた方が頼られがいがあるってモンよ?」
深刻にならないように、敢えていつもの調子で言えば僅かに場の空気が変わる。
『ちゃんと分かってます。でも、私のせいで皆さんに迷惑がって思うと、やっぱり足踏みはします』
「その気持ちも分かるけどさ。もうちょい考えてみてよ?あ、それとも・・・元より仲良しの3人組グループとか、やたら愛聖を溺愛してるスーパーアイドルの2人組より、オレらは頼りないって感じ?」
『そういう訳じゃ・・・でも・・・』
「だったらさ、もっと頼って、もっと信じてよ?おまえさんの事を心配して手を貸したいって思ってるのが、他にもいるって事をさ」
『・・・・・・はい』
「それでよし」
向かい側に座る愛聖の頭をよしよしと撫でて、社長には目だけでそれを確認すれば、社長は小さく頷いた。
小「今夜のところは、予定通りの場所で過ごすとして、明日ここに戻るかどうかはまた僕と愛聖さんとで相談しよう。それでいいね?」
『はい、すみません・・・社長』