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〖 IDOLiSH7 〗 なないろパレット

第16章 動き出した真相


三「あぁ、たくさんあるし、良かったら食ってくれ」

楽「じゃ、遠慮なく・・・」

『ストップ!ちゃんと割り箸使いなさいよ、手掴みなんてお行儀悪いよ?・・・はい、どうぞ』

パキンと割り箸を割ってから渡せば、楽は面倒くさそうに笑って受け取る。

楽「おまえは俺の母親かよ・・・お、これ美味い」

『でしょ!だって三月さんが作ったんだから』

楽「なんで和泉兄が作ったのに愛聖が偉そうなんだよ。けど、マジで美味いな・・・おい、今度作り方教えてくれ」

三「作り方って言われても、普通に肉じゃが作っただけだぜ?」

その普通に作ったのが美味しいのが凄いのに。

三月さん、楽の胃袋ガッツリ掴んじゃったし。

『ホント、美味しい・・・』

それから、懐かしい味。

そう思えてしまうほど、寮に帰ってないってことにもなるけど。

それに、万理が作ってくれるご飯ももちろん美味しい。

だけど、私の中でいつの間にか三月さんの味が馴染んでるんだと思うと、この味が懐かしくて、恋しくなって、今すぐにでも寮に戻りたくなってしまう。

でも今はまだ・・・帰れない。

誰の仕業か分からないけど、さっきみたいな事がまた起こるとしたら。

もし・・・みんなを巻き込む形になってしまうとしたら。

そう思うと、素直に寮に戻って大丈夫なんだろうかと判断を鈍らせる。

このままもうしばらく万理の所に・・・いや、待って。

どんな方法で何かをしてくるかと考えたら、万理の所も正確には安全じゃない。

万理が不在の時、私がひとりで留守番をする時もあるかも知れない。

まぁ、それは余程じゃないとないけど。

もしもそんな隙間時間にどうにかなってしまったらと思うと、考えが絡まって上手くまとめられない。

最初の時、私は楽と電話が繋がらなかったら・・・あのままあの人たちにいいようにされて・・・

それだけじゃない。

楽と電話が繋がった後でさえ、あんな事を。

あの時、耳に届いたシャリっというハサミの音が蘇りゾクリと体が震え思わず自分を抱きしめれば、漂う血糊の匂いに目を伏せる。

楽「ったく、おまえは・・・なんでもそうやってひとりで抱え込むなって言っただろうが」

『痛っ!』

突然のピンポイントな痛みに目を開けば、目前に楽の整った顔があり驚いて身を引いた。
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