第16章 動き出した真相
楽「へぇ・・・これが噂に聞く和泉兄の手料理か・・・って、いや、ちょっと待て。いま確か、愛聖が寮を出てから、とか・・・言ってなかったか?」
『え?!あ、えっと・・・』
マズイ・・・寮を家出中ってのは、誰にも話してなかったんだった!
楽「愛聖、おまえ今どこに住んでるんだ?引越したって事か?それとも千さんとこか?」
『そこでなんで千の名前が出て来るのよ』
楽「いや、千さんの家はおまえの駆け込み寺みたいなモンだろ?」
駆け込み寺って・・・まぁ、確かに千の家のご飯は精進料理みたいのがズラリと並ぶけど。
百ちゃんがいないとお肉はまず出て来ないし。
・・・じゃなくて。
『別に私がどこに寝泊まりしようといいじゃない』
楽「まさか・・・男か?」
『違う』
とは言い切れないけど!
ここで実は万理の部屋にって言ったところで、三月さんは納得するかも知れないけど、楽の場合の万理の立ち位置は単なる事務員ってだけだから話がややこしくなるし。
『とにかく私の居場所は企業秘密だからストーカーとかしないでよね?』
楽「誰がするか!っていうか、ホントに住む所に困ってんなら、俺んち部屋は余ってるから、いつでも連絡寄越せ」
『大丈夫。もしホントに困ったら楽の前に龍にでもお願いするから。龍は優しいし、襲ったりしないし。お酒飲みすぎると、ちょっと・・・あれだけど』
深酒した龍は、ちょっと大変というか。
ハイテンションになり過ぎて沖縄の言葉フルコース状態だから、イマイチ会話が噛み合わないというか。
過去に打ち上げで飲まされ続けた龍を姉鷺さんと2人で介抱した時を思い出して苦笑か浮かぶ。
三「十さんだったら襲わないって、愛聖・・・おまえ八乙女に襲われた事でもあるのか?」
『えっ?!』
黙って様子を見ていた三月さんが私に疑問を投げかける。
襲われかけた事はあると言えばある、けど。
・・・言えるわけなくない?!なんて思ったら。
楽「こんなチンチクリン誰が襲うか!」
『ちょっと!またチンチクリンとか言った!』
楽「チンチクリンはチンチクリンだろ!・・・千さんの趣味を疑うぜ」
あ、そこは同感・・・じゃなくて!!
『ほんっと楽って私に対して失礼極まりないよ』
楽「うっせーな。それより和泉兄、俺もこれ食っていいか?」