第16章 動き出した真相
❁❁❁ 八乙女宗助side ❁❁❁
「楽・・・愛聖を連れて自分の楽屋へ戻れ。和泉三月、お前もだ。この場は私と小鳥遊が処理する」
楽「どういう事だよ」
私の言葉に苛立つ楽にそれ以上は何も言わず、早く行けと促す。
僅かにふらつく愛聖を軽く支えながら、楽が通路の向こうに消えて行くのを見送り、小鳥遊と共に愛聖の楽屋へと入ると鍵を閉めた。
小「またこんな事が起きるだなんて・・・今回は僕も離れずにいたのに」
脅迫めいた置物を見ながら、小鳥遊が呟いた。
「小鳥遊、この件についてお前に話す事がある」
小「僕に?・・・分かった、聞くよ」
「以前起きた事を、少し調べさせて貰った。それから・・・」
あの夜、姉鷺からTRIGGERのスケジュールの事で連絡を受け、それからひとつ大事な話があると聞かされたのが愛聖がテレビ局内で監禁と、そして暴行を受けたという話だった。
それについては小鳥遊にも連絡を入れ、詳細を聞いたが・・・その前後の出来事についても、以前、天から報告だけは受けていた。
天「社長。最近、やたらと愛聖に絡みたがる人間がいる事をどう思いますか?恐らく・・・というより、社長もきっとよく知っている人間だと思います。更に言えば、相手は何を考えているのか分からないから、なにかが起こるのも時間の問題ですね」
天にしては直接的だと思ったが、私がよく知っている人間だという辺りに調べを進めてみれば・・・該当者は数人いるものの、ここ数ヶ月の愛聖の仕事の影に隠れる人間が1人だけいた。
小「確かに彼女は愛聖さんが出てたCMの別バージョンでRe:valeと共演してたけど・・・まさか彼女が?」
「あぁ、間違いないだろう。心当たりがあるからな・・・ただ、恨む相手を間違えている。いや、恨むなら当時の事務所の、力の無さを恨むべきだがな」
元々はかつて本人が所属していた事務所が私に隠れて愛聖を引き抜こうと策を練っていた事が原因だ。
弱小プロダクションを潰すのは別にその時が初めてではない。
この世界では、よくある事のひとつでもある。
「あの女・・・今は奏音、と言ったか。他にも腹暗い話はいくつもあった。とても褒められるべき行動ではない、黒い話だ」