第16章 動き出した真相
そんな会話をしながらも食事は食べ終わり、2人並んであと片付けをしてベッドに入るまでの時間を一緒に過ごす。
とは言っても、愛聖は明日の撮影の為に台本と睨めっこ状態を続けているから、俺はアイロン掛けをしながら邪魔にならないように眺めているだけなんだけど。
う~ん・・・と唸り出した愛聖に、アイロン掛けをする手を止められる。
『ねぇ、万理。男の人って、どんなに1番身近にいる女の人でも欲情しないって、どう思う?』
「え?!急になにっ?!熱っ!」
驚き過ぎてアイロンを取り損ねそうになりながらも言えば、愛聖は大丈夫??なんて笑いながら振り返る。
『明日の撮影シーンなんだけど、ちょっと難しくて』
そう言って愛聖は手元の台本に目を落とす。
「それが、いま言った質問ってやつ?」
アイロンに触れてしまった指をフゥフゥと拭きながら聞き返せば、愛聖がそうだなんだよねぇ・・・とため息を吐いた。
『万理はこのドラマをずっと見てくれてる視聴者だから、私と千葉志津雄さんの役柄の関係はもう知ってるでしょ?お互いにもしかしたら・・・って思ったら、やっぱり一線引いちゃうのかなぁ』
「その答えはきっとひとつじゃないから、模範解答を探すのは難しいよ。それに、そういう相談は俺じゃなくて大和くんとか、壮五くんとはしないの?」
事情があって寮を出て来てしまったのを知ってる上で、彼らの名前を出してみる。
『二階堂さんは・・・このドラマには出てないから』
「じゃあ、壮五くんは?彼なら共演者のひとりなんだし、相談くらい出来るんじゃない?」
別に、意地悪をしてるつもりはない。
ただ、このままじゃダメだと思ってるからこそ、あの子たちの名前を出してみただけなんだ。
俯いて黙り込む愛聖に歩み寄り、腰を落として・・・頭を撫でる。
「愛聖。ホントはちゃんと分かってるんだろ?」
ケンカ別れみたいに出て来てしまった事を、後悔してるんだろ?
それは言葉に出さなくても、ここ数日の愛聖を見てれば分かる。
今日の夕飯だって、テレビ見て美味しそうって言った後の事だ。
『三月さんが作ってくれたのも美味しかったんだよね』
って言ってたの、気付いてなかっただろ?
それに昨日も・・・