第16章 動き出した真相
❁❁❁ 大和side ❁❁❁
「あれ、ミツは?」
壮「三月さんなら陸くんと買い物に行ってます」
リビングへ顔を出せば、ソファーで山のような洗濯物を畳むソウがいた。
「リクと買い物?あぁ、そうか・・・そうだよな」
冷蔵庫に貼ってある当番表を見て、今日のミツの相棒がいないからリクを連れて行ったんだと納得する。
たまには手伝うよとソウの前に座り、ひとつずつ洗濯物を畳んでは持ち主毎に分けられた山へと乗せる。
壮「愛聖さん、どこへ行ったんでしょうか」
「さぁな。でも、万理さんに探りを入れたら居場所知ってるっぼいけどな。どう聞いても教えてはくれなかったけど。ただ、仕事はしてるみたいだから社長が同行してる事を考えたら、無事ではいるだろ」
壮「そう、ですね・・・愛聖さんがここにいる事が当たり前になっていたから、寂しいですね。どこもかしこも違和感ばかりです」
「キャーキャーとうるさかったからなぁ、愛聖は」
笑いながらそう返してはいても、ソウが言うように違和感を感じずにはいられない自分もいて小さく息を吐いた。
実はあの翌朝早く、何か胸騒ぎがして目が覚めて部屋から出てみれば、今まさに荷物を纏めて出て行こうとする愛聖と顔を合わせたんだよな、オレ。
てっきりミツに言った事はハッタリだと思ってたから驚いたけど、驚いてる場合じゃないなとひと呼吸おいて声掛けた事を思い出す。
「こんな朝早くから出掛けるとか、早朝撮影でもあるのか?」
後ろ姿に声をかけると、一瞬だけ動きを止めた愛聖がゆっくりとオレを振り返った。
『こんな時間に起きてくるとか、二階堂さんも健康志向になったんですか?』
「あのなぁ、質問に質問で返すのはルール違反だ。オレはこんな朝早くから小荷物抱えてどこに行くのか聞いてるんだよ」
玄関先にポツンと置かれたトランクの脇まで歩み寄り、そのまま壁に背中を預けて愛聖の顔を見る。
「昨日のミツの事なら、おまえさんが気にする事ないぞ?ミツが今まで悩んでた事を知ってたのに、どうにもしてやれなかったオレにも責任はあると思ってる。ただあの時は、週刊誌にオレの事も書かれてたりしてたから、オレがなんか言えば言うほどややこしくなるっぽかったから何も言えなかっただけで」