第16章 動き出した真相
❁❁❁ 龍之介side ❁❁❁
ここ数日、楽はどこか思い詰めたような顔をする時がある。
悩みがあるならと声をかけたら、何かを話そうとする素振りはしても、今はいい・・・だとか言って口を閉ざしてしまう。
そして、その楽に比例するように天も口数が減った。
・・・と言うか、天の場合はそれでも前よりはよく話をしてるんだけどね。
最近は程良くバランスが取れてるトライアングルだと思ってたけど、その均衡が崩れてしまいそうな予感もして落ち着かない気もする。
こういう時はやっぱり、1番年上のオレが上手く立ち回らないとって思ってはいるけど、楽が今はいいって言うなら・・・楽が話してくれるまで待った方がいいんだろうか?
そう言えばさっき愛聖もなんだか浮かない顔をしてたよな?
オレは単独でCM撮影、愛聖は時代物の撮影が始まって、今日はたまたま撮影スタジオが同じで通路で会った時お互いにびっくりしたけど。
愛聖があんな顔をしてるのは、例の週刊誌の騒ぎだろうな・・・
アイドリッシュセブンのメンバーが尽く誌面に名を連ねてたから。
「ちょっと!アタシの話ちゃんと聞いてるの?!」
「あっ・・・すみません・・・」
うわぁ・・・考え事し過ぎてマネージャーのこと忘れてたよ・・・
姉「だーかーらー!アンタの今日のお相手だけどキャンセルよ!だから他の相手役が見つかるまでは撮影延期ですって」
「キャンセル?」
姉「そうよ、ドタキャン!昨日の夜に自宅で階段踏み外して骨折ですって!だいたい昨夜の出来事ならその場ですぐに連絡回すのが常識でしょ!・・・全く、こっちだってスケジュール詰まってるってのに頭に来るわ」
階段踏み外してケガするとか、まるで愛聖みたいだと心の奥で笑いながら、相手役がいないなら仕方ないよねとマネージャーに言って、気付く。
・・・愛聖がいるじゃないか!
「ねぇマネージャー!さっき愛聖がこの撮影所にいたんだけど、もし向こうの都合が良かったら代役行けるんじゃないかな?!」
姉「それホント?!こっちの監督がGOサイン出せば可能性はあるわ。よし、アタシは監督に聞いてみるから、アンタは愛聖を捕まえなさい!今すぐよ!」
楽屋を飛び出すマネージャーを見送りながら、オレはスマホを出して電話を掛けた。