第16章 動き出した真相
三「お前のそれは、オマケなんかじゃないだろ。オレと違って立派なキャリアがあるじゃねぇか!こんなオレじゃ・・・やっぱり先輩として胸張るだとか、出来ねぇよ・・・」
『そんなこと・・・』
三「そんな事じゃねぇよ!どこの世界に何も出来ない先輩がいて、実力にもキャリアにも恵まれた後輩がいるんだよ!」
三月さんがそう叫んで、愛聖さんは目を閉じて口を閉ざしてしまう。
「三月さん、落ち着こうよ・・・そんな言い方は良くないと思う。愛聖さんはキャリアがあるって言っても、それなりに大変な事を乗り越えて来てるし・・・」
そう言って三月さんに歩み寄ろうとした時、愛聖さんが僕のシャツをそっと掴んで歩みを止めた。
『三月さん、ひとつだけ聞いてもいいですか?・・・三月さんは、私みたいな後輩はいらないって・・・思ってますか?』
陸「急になに言ってるんだよ愛聖さん!」
「そうだよ!今はそんな話をしてるんじゃない」
『私は三月さんに聞いてるんです。七瀬さんと逢坂さんは黙って下さい』
僕と陸くんが間に入ろうとしても、それは愛聖さんに阻まれてしまう。
『三月さん・・・どうなんですか?』
愛聖さんがもう一度聞いても、三月さんはソファーで膝を抱えたまま黙っていた。
『なにも言ってくれないって事は、肯定として受け取っていいんですね?』
そう言って今度は愛聖さんが黙り込み、時計の音だけが部屋に響く程の静寂が訪れた。
『・・・分かりました。なら、私にも考えがあります』
環「考えって?」
『私がいる事で三月さんがちゃんと前を向けないって思うなら、私はここを・・・この寮を・・・・・・出ます』