第16章 動き出した真相
❁❁❁ 壮五side ❁❁❁
三月さんが週刊誌に書かれた記事の事で落ち込み、それを大和さんや愛聖さんに当たってしまった。
メンバーのいろいろな記事を書かれて、僕たちも混乱してどうしたらいいのか分からなくなりそうだったけど・・・
そんな三月さんに怯むことなく、愛聖さんが思っている事を三月さんに投げかけるのを聞きながら、僕もいろいろと考えさせられていた。
ここにいるみんなが誰かの等身大だと、愛聖さんはキッパリ言い切った。
それを聞いて僕も、確かにそうなのかも知れないと思う。
誰しもみんな、自分にないものをアイドルに求めて夢を見ると思うから。
僕も、同じ。
夢を追いかけて歌い続けた叔父さんに、自分を重ねていた時期もある。
『誰にだって欠点はあります。私なんて欠点だらけです。料理は壊滅的だし、スケボー乗れなかったし、じ、自転車だって乗れないし、ついでに言えば泳げないし』
環「マリー、それって運動音痴じゃん」
「環くん!いくらそうでも本人に言ったらダメだろ・・・あ・・・」
環くんの言葉に慌てて自分の言葉を被せて、それが失態だとすぐに気付く。
『四葉さんも逢坂さんも酷いなぁ・・・悲しくなって来た・・・』
「ゴメン、愛聖さん・・・そんなつもりじゃなくて・・・その・・・」
慌てて謝れば、愛聖さんは気にしてないから平気だと笑った。
『私はアイドルじゃなくて、一応・・・女優と呼ばれる職業だけど、それだって私にないものを私が自分で追いかけてる。私個人は結婚してなくてごくごく普通の人間だけど、いざ女優業ともなれば刑事だったり、幼妻だったり、遊女だったりと実際には経験してない事を監督のフォローがあって他人になってる。そう考えると、三月さんより私の方がオマケな生き方してますよ?八乙女社長に声掛けられて、あっという間に今日まで来てますから』
少し自虐的に話す愛聖さんの言葉に、場が緩むのを感じる。
彼女こそ、オマケなんかじゃない。
努力して、頑張って来た証が今の姿だと思う。
僕たちはどれだけ大変な思いをして今に至っているのかを知っていて、どれだけ辛い事があったのかも知っているのに。
それなのに、どうしていま愛聖さんが三月さんにそんな風に話すのだろうかと不思議に思ったけど。