第16章 動き出した真相
万「とにかく、この件に関しては社長が策を出すまでは個々でコメントしない方がいい。こういう記事を書く場所は、こちら側がどんなコメントを出しても意に反した文章に起こすのが仕事だからね」
紡「そうですね。私これから社長に相談して来ますから、みなさんは寮に戻って下さい。詳細が決まり次第お伝えしますから」
それからみんなで寮に戻るも、そのリビングは何となく居心地の悪い空気が漂っていて落ち着かない気持ちでいた。
大「あ、愛聖はここにいたのか。ちょっといいか?」
『あ、はい、なんですか?』
重苦しい空気の中、二階堂さんが私を探していた所だと手招きをする。
大「ここじゃちょっとアレだから、とりあえずオレの部屋で」
私にだけ見える角度で二階堂さんが雑誌をチラつかせては早くと手招きを繰り返す。
あの雑誌は確か、私がまだ八乙女社長の所にいた頃にやった仕事で、二階堂さんが好きなブランドとコラボした私服コーデの・・・?
あぁ、そういえばこの前その話で盛り上がって、その時の雑誌があるから探しとくとか言ってたんだっけ。
三「ここじゃアレって、なんだよ。オレたちがいたら邪魔だってことかよ?」
大「なに言ってんだミツ?オレは別にそんなこと思ってないけど?」
三「けど、なんだよ。自分が大物俳優の子供だからってオレたちの事を下に見てんだろ?いいよなぁ、大和さんは・・・弟のオマケでこの世界に入ったオレと違って、なんかコネとかあったんだろ?」
三月、さん・・・?
大「バカバカしい・・・ミツはオレをそんな風に思ってんのか?」
三「歌もダンスもイマイチでなんの取り柄もないオレを応援するフリしてずっとバカにしてたんだろ!!」
大「なんだよそれ・・・オレはちゃんとミツが頑張ってるからこそ応援したんだろうが!」
『三月さん落ち着いて下さい!』
今にも掴みかかりそうな三月さんの腕を押さえて言っても、それは簡単に振り払われてしまう。
「お前もだろ、愛聖・・・歌やダンスが全然上手くならないのは、一織のオマケだったから仕方ないって思っただろ」
『どうしてそう曲がった考えになるんですか!冷静になって下さい三月さん!』
振り払われた手でまた三月さんの腕を掴み、声を上げた時リビングの入口に人影が立つ。
一「いったいなんの騒ぎですかこれは・・・」