第16章 動き出した真相
紡「さすがに悪質過ぎますよ!・・・抗議して来ます!」
一「抗議しても無駄でしょうね。大きな裁判でもしない限り、こういった場所は謝罪文など載せませんよ」
時代物の撮影が再始動されると連絡があって、打ち合わせから事務所に戻ると早々にミーティングルームがザワついているのに気付いて顔を覗かせる。
『お疲れ様です・・・あの、なんの騒ぎですか?』
紡「あ・・・おかえりなさい愛聖さん。実は、その・・・」
私を迎え入れながら紡さんがテーブルの上に広げられた数冊の雑誌に目を落とし、気まずそうに目を伏せた。
万「いくつかの週刊誌に、アイドリッシュセブンに関しておかしな記事が掲載されてるんだよ。ほら、これとか」
その中の1冊を手に取った万理が私に見る?と差し出した。
『アイドリッシュセブン、六弥ナギの正体は、王子様・・・』
・・・?
見出しを音読みして何気なくナギさんを見ると、なぜか憂い顔で微かにウインクを投げられた。
・・・。
『なにかの間違いですかね・・・』
ナ「Nooooooooo!!それは間違いではアリマセン!」
陸「そう言われてもピンと来ないよなぁ・・・」
七瀬さんの言葉にみんなで大きく頷く。
紡「一織さんと三月さんのご実家の情報まで書かれているんです」
紡さんがそのページを開いて記事を私に見せてくれる。
一「うちの実家は客商売ですから、宣伝になっていいんじゃないですか。あれこれと書かれるくらいの覚悟はしておいて下さいよ・・・芸能界に入ったんですから」
『そうですね・・・考え方に寄っては有名税だと思えばってのもアリかもですけど。でも、さすがに1度にこう書かれるのは不自然ですね』
メンバーの中の誰かがっていうなら、まだ分かるけど。
こんなに1度にいろいろ書かれているのは、何かありそうな気もする。
万「有名税か・・・それにしたって悪意のある記事が多すぎる。誰かが背後で動いている可能性も考えないと」
紡「はい・・・ひとまず、記事を書いた方に記事を取り消して貰うように連絡は入れる事にします。何もしないで傍観するのは嫌ですから」
紡さんはそう言うけど、さっき一織さんが言ってたように謝罪文なんて上がるはずはない。
それどころか、記事を担当した人に辿り着くかどうかさえ確実な事とは言えない。
そういう、世界だから。