第16章 動き出した真相
ユキが確認するようにオレの目をまっすぐ見るから、オレは大きく頷いて見せる。
千「実はね、モモ。今の僕は愛聖が枯渇してる・・・」
「・・・・・・・・・え?」
千「だから、愛聖が足りないんだよ。電話しても用事がないなら切るねってホントに切られちゃうし。ラビチャしたら、しつこい!って返事来るし」
あ、いや、それっていつもの事じゃない?
千「僕が忙し過ぎて会いに行けないから、せめて声だけでもって電話したのに、切るとか・・・」
「あの、ユキ?命に関わる重大な事って・・・それ?」
千「そうだけど?」
当たり前じゃないかと言いながらオレを見るユキの目は、どこかイタズラに輝いていて。
千「もうどれだけ愛聖をこの手に抱いてないと思ってるんだ?このままじゃ僕は、壊れてしまうよ。あぁそうだ!Re:valeの仕事が忙し過ぎて会えないなら、Re:valeを辞めるってのもアリかな」
「ちょーっと待ったァ!!ユキ、分かった!分かったからさ!愛聖はオレが何とかするから!!」
だから、そんな事でRe:vale辞めるとか言わないでっ?!
っていうか今更だけど、マリーを抱いてないとか、言い方な!
千「あ、そう?じゃ、愛聖をおびき寄せるのはモモに頼んだよ?」
おびき寄せる・・・なんて人聞きの悪い・・・
っていうかオレ、まんまとユキの作戦に落ちてない?!
千「モモ、僕の命懸けのオネダリ・・・聞いてくれるんだよね?」
実に楽しそうにクスクスと笑い出すユキに、仕方なく了解の返事をすれば、番組スタッフが楽屋へ駆け込んで来る。
「大変お待たせしました!Re:valeさん、スタジオにお願いします!」
千「さ、行こう。モモのお陰で収録も頑張れるよ」
「あ、はは・・・そうだね・・・」
微妙な気持ちになるオレに、ユキはキラッキラの輝きを放つ。
後で、マリーに電話してみよう。
チラリと自分のスマホに視線を投げて、衣装のジャケットを手に取った。