第16章 動き出した真相
❁❁❁ 大和side ❁❁❁
八乙女との話が終わった帰り道。
戯れるようにコンビニの袋から出した缶ビールを飲み終えてゴミ箱へと捨て自販機に凭れ掛かる。
『二階堂さん、まさかもう酔っ払ったんですか?』
「そんなワケ。ただちょっと、この際だからお前さんに言っとこうかな?と思う事があってさ」
『私に?』
他にいないだろ?と笑えば、愛聖はオレが話し出すのを待ちながらコンビニの袋を持ち直した。
「さっきの、だけど。一応、ホントに思ってることだから・・・その、初めて出来た可愛い後輩をオレたちが守るってやつ」
『やっぱり可愛いって言ったのは私の聞き間違いじゃなかった!そっかそっか、二階堂さんから可愛いって言われるとか・・・』
「茶化すな、オレは真面目に話をしてるんだ。話すなら寮もアリだけど、勘がいいやつがいたりするし、今ならオレと愛聖だけしかいないしな」
こんな所で立ち話する内容でもないからと、道路の反対側にある公園を指して移動した。
「話ってのはだな愛聖、非通知着信・・・未だにまだあるだろ」
『え・・・』
ベンチに腰掛けて前触れもなく言えば、予想通り愛聖は顔色を変える。
「隠さなくてもいいから。あの時から変わらず、愛聖は何事もない顔をして、ずっと耐えてたんだな」
『どうして、それを・・・?』
「最初に気付いたのはミツだよ。寮にいる時に掛かって来た電話をその場で出る時と、後で掛け直すからってのが多いよな?ってオレに話して来たのがきっかけっていうか?オレもミツに言われて、そこで気付いたんだ。ただの、ノーマルな着信音の時にその場で出ない事が多いってことに」
ネット上に電話番号が晒されてた時は、万理さんが大元に圧力をかけて事態は収束したって思ってたけど、実際はそうじゃなかった。
1度そんな所に晒されたら、そこで番号を知った奴らが素直に愛聖の番号を手放すとは思えない。
そこに気付くのが遅かったオレも、考えが甘かった。
「で、実際はどうなんだ?」
そう問いかけ直せば、愛聖はもう隠し通せないと括ったのか、実は・・・とポケットからスマホを出してオレに差し出した。
『前ほどじゃないんですけど・・・まだ、時々・・・』
そう言って履歴を開けば、そこに連なる非通知着信の数。