第16章 動き出した真相
大「あー・・・あれか?その辺はあんまり気にすんな」
『しますって。もし楽が拗ねて声掛けてくれなくなったら友達がひとり減るじゃないですか』
大「友達、ねぇ・・・向こうもただの友達として声掛けてんなら、オレもなんも言わないんだけどね」
『そうじゃない友達って、例えばどんなのですか?』
変な言い回しをする二階堂さんに言えば、どういう訳か笑い出す。
大「お前・・・そこまでかよ・・・八乙女もなかなかの苦労人だな」
『言ってる意味が分かりませんけど、とりあえず二階堂さんは笑い過ぎです』
大「分かんなくてもいいよ、別に。あ、そういやオレが頼んだビールは?」
あからさまに話題を変える二階堂さんになんかズルい!と言いながらも、それならここにと手元の袋を広げてみると、缶にはこれでもか!というほど水滴が付いていた。
『すみません、ちょっと諸事情が・・・』
大「・・・だな。でもまぁいっか?いろいろ喋って喉乾いたし」
『え?いま飲むんですか?』
大「ダメなのか?」
『あんまり冷たくもないし。それに、歩きながらお酒飲むとか、どこの飲んだくれですか?お行儀悪いと一織さんに叱られ・・・もう、聞いてないし』
日頃、四葉さんが部屋を寮をうろうろしながら王様プリンを食べたりしてるのを一織さんが注意するのを思い出しながら話しても、二階堂さんは缶ビールのプルタブを開けて早くも口を付けていた。
『せっかくさっきの二階堂さんが少しだけカッコイイと思ったばかりなのに、やれやれです』
大「大丈夫。お兄さんはいつでもカッコイイから」
『あー・・・はいはい』
大「あれ?なにその適当な感じ。可愛くないぞ?」
『おかしいなぁ?さっきは私のことを可愛い後輩だとか言ってたのに』
大「誰だ?そんな寝ぼけた事を言ってたのは」
『そういうこと言ったら拗ねますよ?』
クスクスと笑いながら缶を傾ける二階堂さんは、あっという間に1本目を飲み干し、通りすがりの自販機に添えてあるゴミ箱へと空き缶を入れて自販機に寄り掛かる。
『二階堂さん、まさかもう酔っ払ったんですか?』
大「そんなワケ。ただちょっと、この際だからお前さんに言っとこうかな?と思う事があってさ」