第16章 動き出した真相
❁❁❁ 楽side ❁❁❁
あの日・・・愛聖のトコの社長が親父の部屋で話していた事が、どうしても頭から離れない。
結って、誰だ?
それに、いつも穏やかに笑っている社長があの部屋から出てきた時、一瞬だけど険しい顔をしていたようにも見えた。
それはきっと、親父があの人に失礼極まりない事でも言ったんだろうと思うが・・・
いや、今はそれはいい。
それよりも、サウンドシップの時のあいつらの事だ。
出演をドタキャンした俺たちの代わりにステージに上がり、俺たちを待っていたファンと一緒に・・・TRIGGERの曲を歌ってた。
しかも、ほぼ・・・完璧に。
あの曲はリリースしてから少し経っているとは言え新曲だぞ?
それなのにあいつらは、どうしてあんな風に急に振られた代理で、歌う事が出来たんだ?
何かが・・・おかしい。
おかしいと言えば天もあの曲を歌い始めた頃、俺たちにあの歌は好きか?とか聞いてたな・・・
その意味はなんだったんだ?
どういう意味だと聞き返しても、俺や龍が気に入ってるなら別にいいとか言ってたし。
考えれば考えるほど、暗闇に手を突っ込んでずっと手探りをしている感覚に囚われていく。
・・・愛聖に聞けば、なにか分かるか?
スマホをタップして愛聖の連絡先を表示させて、やめる。
・・・違うな、愛聖じゃねぇ。
アイドリッシュセブンの事だったら・・・あのマネージャーに聞けば欲しい答えが返って来るんじゃねぇのか?
だったらあの事務所に電話して、マネージャーに取り次いで貰えば・・・いや、もし、取り次いで貰えなかったら、どうする?
クソッ・・・たらればでグルグルと考え込んでても仕方ねぇ!
直接出向いて、あのマネージャーに話を聞こう。
電話なんかじゃなく、直接行けば少しくらい時間を取って貰えるだろ。
それなら、早い方がいい。
そう決心して、俺は手早く出掛ける支度をしてジャケットを引っ付かみ、向かうべき場所へと足を早めた。