第16章 動き出した真相
大「そう言われてもなぁ・・・その格好じゃ言い逃れ出来ないっていうか?」
「だからこれには事情があって!」
大「まぁ、とりあえず・・・そろそろ愛聖が窒息するぞ?」
指先で眉間を押さえる二階堂さんの言葉に口を押さえたままだと言うことを思い出しパッと手を離した。
「すみません、私とした事が」
『はぁ・・・苦しかった。あとちょっと遅かったら、母さんや父さんとお茶会する所だったかも』
大「そしたら茶菓子位は供えてやるよ。ってな感じで、おかえり愛聖。随分と遅かったな、この不良娘」
『ただいまです。なかなか終わらなくて、この時間になっちゃいました。っていうか、終わってから社長と万理と3人でひと息ついてから帰ってきたんですけど』
大「それなら万理さんから連絡貰ってたから知ってるよ。で、ゴソゴソ物音がすると思ったから様子見に来たら、まさかイチが、ねぇ」
「何度も言いますが、誤解です」
そう言って、ふと気付く。
「あの、二階堂さんは大神さんと佐伯さんが帰って来るのを知ってたんですね?」
大「あぁ、まぁそれもオレが万理さんに朝までお泊まりコースか?ってラビチャしたら、ちょうど帰るところだって返事貰ったからね」
では、さっきのは二階堂さんのいつもの戯れ・・・
大「それにしても、イチは愛聖に関して巻き込まれるの多いよなぁ・・・あ、もしかして狙ってやってる?」
「断じて違います。毎回たまたま巻き込まれてるだけです」
思い返せばあの時も、そしてあの時も、更には・・・と、偶然が重なり過ぎて頭が痛くなる。
「二階堂さんもいる事ですし、私は部屋に戻ります・・・おやすみなさい」
はぁ・・・と大きく息を吐いて、佐伯さんの部屋を出て自分のベッドに潜り込む。
全く、騒ぎが多い1日だったなとまた息を吐いて、枕の下に忍ばせたフワフワの手触りで気持ちを落ち着かせる。
この秘密を知っているのは、兄さん以外には佐伯さんだけ。
そう思うと複雑な気持ちにもなったけど、それはそれで仕方ない・・・と、柔らかな手触りに癒されながら、そっと目を閉じた。