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〖 IDOLiSH7 〗 なないろパレット

第16章 動き出した真相


佐伯さんを見ていると浮かびあがってしまう言葉を小さな咳払いで追いやり、その傍らに膝をついた。

「驚いて、暴れたりしないで下さいね」

耳元で小さく囁いて、その体を抱き上げる。

1度寝付いたらなかなか起きないのは経験済みだから、起こす方法を考えるよりもこの方が手っ取り早い。

抱きかかえたまま部屋へ向かい、明かりをつけずにベッドへ降ろそうと身を屈めると、佐伯さんが僅かに身動ぎ目を擦る。

『ん・・・ゴメン万理・・・一瞬寝ちゃった・・・』

・・・なぜこのタイミングでこの人は目を覚ますんでしょうか。

『万理が帰るのを見送ろうと思ってたのに・・・』

我慢する事もなく口元に手を当てながらあくびをする佐伯さんをベッドに座らせる。

「大神さんなら、私がちゃんと見送りましたよ」

『えっ・・・・・・・・・・・・い、一織さ、ムグッ・・・』

目の前にいる人間が大神さんじゃない事に気付いて驚き、慌てて距離を開けながら声を上げる佐伯さんの口に、咄嗟に自分の手のひらを押し当てる。

「大きな声を出さないで下さい・・・まだ夜明け前なんですから」

驚いて目を丸くしたままの佐伯さんに小声ではなせば、コクコクと頷きながらも回数の多い瞬きを繰り返す。

「たまたま目が覚めた時に佐伯さんと大神さんの声が聞こえて来て、大神さんから佐伯さんを部屋まで送り届けるのを引き継いだだけです」

それだけ伝えて口を押さえた手を離そうとした瞬間、急に部屋の明かりがつけられ思わず目を閉じた。

『眩し・・・』

それは私だけでなく、佐伯さんも同じで。

「愛聖、帰ったのか?・・・って、マジかよ・・・」

そこに降り注ぐ声にハッとして、まだ明るさに馴染めない目を開けて振り返れば、部屋の入口で呆然としながらこちらを見る・・・二階堂さんの、姿・・・

大「イチ・・・おまえさんだけは、絶対ないと思ってたのに・・現行犯となればさすがにお兄さんも、それは庇いきれないぞ・・・」

腕を組み壁に寄りかかる二階堂さんの視線を追って自分たちの状態を見れば、それはまるで暗闇で私が佐伯さんをベッドに押し倒していた様にも見えて。

「ちっ、違います!私は別に二階堂さんが考えているような事は、何も!」






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