第16章 動き出した真相
それから後はそれぞれに役割分担して事務所の片付けに集中して、思っていたよりも少し早めに事務所の形を元通りにする事が出来て、紡さんは自分の、残りの3人はそれ以外のパソコンの前に座って作業を始めた。
そして・・・
紡「あれ?え?・・・なんで?!」
それまでパソコンと向き合っていた紡さんが困惑の表情を見せながらマウスを動かしたり、キーボードをカタカタと打ってみたりを繰り返す。
万「紡さん、どうしたんです?」
その様子に気付いた万理が手を止めて、紡さんに声を掛ける。
紡「急に画面がフリーズしてしまったようで・・・どうしたんでしょうか・・・」
万「フリーズ?・・・ちょっと見せて?」
席を立った万理が、そのまま紡さんの背後から覆い被さるようにパソコンの画面を見てキーボードを打ったりしては、画面を確認する。
背後からそのままだとか、紡さんは女の子なんだから万理も気を使えばいいのに。
・・・千じゃないんだから。
そう思いつつも様子を眺めて、胸の奥がチリチリとするのを感じる。
なんで、こんなにチリチリするんだろう。
別に万理からしたら何でもない事なんだろうに。
あんなの普通に私にだってやってる事じゃん。
でも・・・なんでだろ・・・
万「うん、これで大丈夫だと思うけど・・・ちょっと動かしてみて?」
紡「あ、はい!」
にこにことする万理の顔のすぐ横で、パソコンが正常に動いているかを見る紡さん・・・
顔、近過ぎじゃない?!
紡「動きました!大神さん、ありがとうございま・・・」
ほら、そうなるじゃん!
予想外の近距離に紡さんが恥ずかしそうに顔を背け、助かりました・・・と小さくお礼を言う。
万「すぐに直って良かったよ。じゃ、続きを頑張ってね?」
万理はそう言いながら何気なく紡さんの頭をぽんぽんっとするから、紡さんはほんのり顔まで赤くしてるし。
なんか、モヤモヤして集中出来ない・・・
『あーっ!なんかもう疲れた!・・・コーヒー入れて来ます!社長も紡さんも飲みますよね?!』
わざとらしく大きな声で言いながら席を立ち、みんなの返事も聞かずに給湯室へ向かう。
急に大きな声を出したからみんなが驚いた顔をしてたけど、モヤモヤしてたら作業が進まないし!
ちょっと眠気覚ましにコーヒータイムするくらいオッケーでしょ!