第16章 動き出した真相
日「佐伯ちゃん・・・頼む・・・」
またも手を伸ばして縋りつこうとする日向さんの手をパシッと四葉さんが払って私を引き寄せる。
環「だからマリーに触んな!マリーも俺から離れんな・・・」
『あ・・・はい・・・』
事務所に入り込んだのが日向さんだって分かった事実に未だ動揺していた私は、引き寄せられるままに四葉さんの腕の中でジッと動けずにいた。
大「ハァ、ハァ・・・ソウから電話貰ってダッシュして来れば・・・この惨状はどうした?」
逢坂さんから連絡って、なんの事だろうと考えていると、肩で息をする二階堂さんの後ろから三月さんまでも顔を出す。
三「壮五に環、なにがあったんだ?愛聖はいたのか?」
『あ、私ならここにいます』
不意に自分の名前を呼ばれ、もぞもぞとしながら四葉さんの腕から片手を上げて存在を示した。
大「あのなぁ・・・とりあえず状況報告は聞くけど、なんでタマはそんなに愛聖を抱きしめちゃってるワケ?」
環「だって俺がギューってしてないと、このオッサンがマリーにベタベタ触っから」
三「オッサン?」
チラッと四葉さん越しに日向さんを見た三月さんが、瞬間、眉を顰めた。
壮「事情は僕と、それから愛聖さんが話すから。それよりも今は警察に通報しないと」
「そ、それだけは・・・」
警察と聞いた日向さんが、項垂れながらぽつりと呟く。
大「あ〜、それなんだけど。ソウから連絡貰った時にマネージャーが社長に連絡して、いま万理さんとここに向かってるから。警察に通報とかそう言うのは、社長たちが来てからだな」
とりあえず逃げられないようにしないとって二階堂さんが言えば、四葉さんがたまたま近くに散らばっていた結束バンドを見つけて逢坂さんと三月さんにそれ使って縛ろうぜと提案する。
三「縛ろうぜって、環・・・お前は手伝わないのか?」
環「そーちゃんとみっきーに任せる。俺はマリーを守る係やる」
四葉さん・・・多分もう、危険はないと思うんですけど。
大「じゃ、お兄さんもタマに手伝うとしますかね 」