第16章 動き出した真相
ゆらり・・・と逢坂さんが動いて、このままじゃ今度は逢坂さんが危ない!と見上げれば・・・
環「ちょ、待った!そーちゃんそれヤバいから!そんなの投げたらコイツ死ぬから!!」
『お、逢坂さん?!』
「ひ、ひぃぃぃ!!こ、殺さないで・・・」
まるで正気をどこかへやってしまったような逢坂さんが机の上からパソコンを持ち上げ今にも投げてしまいそうな姿に私も驚く。
環「そーちゃん!」
壮「環くん・・・無事、だったのか・・・」
環「ちょっと手に当たっただけだから!・・・そーちゃん、たまに超過激だよな・・・怖えよ・・・マジで」
はぁぁ・・・と息を吐きながら言う四葉さんに同意するように、私も思わず初めて見る逢坂さんのそんな様子にコクコクと頷いてしまう。
壮「環くんが何かされたのかと思って・・・つい、オロオロしてしまって・・・」
環「もっとソフトにオロオロしてくれよ、頼むから・・・」
乾いた笑いを漏らしながら言う四葉さんに、逢坂さんが小さくゴメン・・・と呟く。
壮「それより、ホントにケガは大丈夫?」
環「ん。平気、大した事ない」
壮「そっか・・・いつも言ってるだろう。何があっても大丈夫なように、ちゃんと前持って準備をして、それから5分前行動をしろって」
環「分かったから!そーちゃんのお説教は後でちゃんと聞くから!・・・それより、コイツをなんとかしねぇと!」
会話を聞きながら、残りのテープをやっと剥がして体を自由を手に入れて2人の側に歩み寄ると、私に縋るように足元から手が伸びてくる。
『え・・・あ、ちょっと・・・?!』
「助けれてくれ!盗んだものは返す!だから、警察は呼ばさないで・・・頼む・・・」
環「おい!マリーから手を離せよ!」
「ひぃっ・・・」
狼狽える私を見て四葉さんが怒り、無理やり引き離した衝撃で目深に被っていた帽子が落ちる。
壮「その顔・・・もしかして・・・!」
俯いていた顔が上がり、その顔を正面から見て・・・驚愕する。
『日・・・向さ、ん・・・』
その顔は確かに・・・TRIGGERに曲を提供していた音楽プロデューサーで、私にもひとつ・・・提供してくれた人だった。
壮「愛聖さんが知っているってことは、やっぱりその人は・・・」
逢坂さんの言葉に、無言で頷いてみせる。