第16章 動き出した真相
さっきまでガサガサと探し物をしていた人は、四葉さんたちがドアを開けた瞬間から息を潜めている。
環「やっと取れた・・・マリー、大丈夫か?」
四葉さんが私の手に巻き付けられたガムテープを漸く剥がし終え、手が自由になった事で口に貼られたテープを自分でゆっくりと剥がす。
『ありがとう四葉さん・・・それから、』
壮「様子を見てくるから、環くんは愛聖さんとここにいて」
私と四葉さんを見て、逢坂さんが部屋をチラリと見回して立ち上がると、それを感じ取ったあの人が驚いたのか小さな音を立ててしまう。
壮「そこだ!」
「・・・っ!!」
周りのものを手当たり次第に投げつけながら、その人は逃げようと動き、こっちへ向かって来る。
環「逃がすか!待て!!」
「ひぃっ・・・!」
咄嗟に腕を伸ばした四葉さんが捕まえると、それを振り払いように暴れ出す。
環「このっ・・・動くなっ!」
壮「環くんそのまま押さえて!あっ!殴ったりしたらダメだ!過剰防衛になる!」
大きく体を動かして暴れる相手に、四葉さんが応戦しようとすると、さっき私が散らかしたんであろう物に足を取られて倒れ込んでくる。
「・・・くっ・・・」
壮「殴っちゃダメだって言ったのに・・・」
環「ちげーよ!俺じゃねぇって!こいつが勝手に転んだんだよ・・・うわぁっ?!」
逢坂さんに答えている一瞬の内に相手が何かを振りかざす。
「はっ、離せ!離さないとオレは何するか分からないぞ!」
環「危ねっ・・・このおっさん、こんなもの振り回しやがって!」
何度か避けながらも、掴んだ手を離さずに四葉さんが更に引き寄せようと力を入れる。
壮「危ない!環くん手を離すんだ!」
環「離さねぇよ!コイツがあの時の泥棒かも知れないだろ!」
壮「それでもダメだ!顔にでも当たったら大ケガするだろう!」
環「ぜってぇイヤだっ!そーちゃんだってあの時スゲー悔しかっただろ!だから・・・」
逢坂さんと四葉さんが言い合っていると、それを見ていた相手が大きく腕を振り被って四葉さんへとその腕を振り下ろす。
『っ・・・四葉さん!!』
環「うわっ!・・・痛ってぇ・・・」
咄嗟に避けたものの、四葉さんは片方の手を押さえて小さく唸る。
壮「環くん!!・・・よくも・・・環くんを・・・」