第16章 動き出した真相
足先に触れた物を逃さないように片足で押さえながら、もう片方の足を出来るだけ引き寄せてから思いっきり伸ばせば、予想通りガンッ!と音を立てることが出来た。
その音に驚いたのか、どこからともなくキューッと鳴くきなこちゃんの声まで。
その後に続いて、バサバサといろんなものが落ちてきて私の足を覆っていく。
誰のデスクか分からないけど、使い主が分かったら散らかしてしまったことを謝らなきゃ。
・・・万理のだったら、こんなに山積みに物を置かないでよ!とか言えるんだけど、見慣れている万理のデスクはいつも整頓されているからそれはないかな。
環「そーちゃん、いまこの中から変な音したよな?」
壮「環くんも気付いた?それに、僕の勘違いじゃなければ、きなこちゃんの鳴き声もしたと思うんだけど」
環「した!俺も聞こえた!」
壮「環くん静かに・・・社長が野放しにしたまま忘れているだけかも知れないけど、環くんの忘れ物はこの部屋の中にある訳だし、入ろう」
え?!
入って来ちゃダメって意味で音立てたんだけど?!
それに四葉さんの忘れ物ってなに?!
いろんな意味で心臓がドキドキと鳴り出す事も知らず、ドアが静かに開けられる気配が届く。
壮「失礼します・・・ほら環くんもちゃんとして」
環「誰もいないのに?」
壮「いなくてもちゃんとして」
環「めんどくせ・・・失礼します。つうか、真っ暗だからなんも見えねぇし、電気付けてもいい?」
ダ、ダメだって四葉さん!!
ジタバタとしても、私自身が部屋の中のどの辺りにいるのか見当もつかなくて気持ちばかりが焦っていく。
パチンと音がして、目隠しをされていても部屋の電気がつけられた事が分かり、焦燥感が最高潮に達した、その時。
環「マリー?!」
壮「愛聖さん!!」
バタバタと大きな足音がして、私の体が起こし上げられた直後、目隠しが外され眩しさに何度も瞬きを繰り返す。
環「なんでマリーがこんなグルグル巻きになってんだよ?!いますぐ外してやっからな!」
『・・・んーっ!んんーっ!!』
ガムテープで塞がれたままだけど、それでも早くここから出てと首を振って見せるも、四葉さんには通じずに後ろ手に固定されたテープを剥がす事に夢中になっている。
壮「待って・・・まだ人の気配がする」