第16章 動き出した真相
❁❁❁ 環side ❁❁❁
壮「ちょっと待って環くん。1度、愛聖さんに連絡してみようよ」
そーちゃんが、中に入ろうとした俺のシャツを掴む。
「なんで?」
壮「中に入って忘れ物を取りに行くのはいいけど、どのみち帰りに困るだろ?マネージャーの鍵は愛聖さんが持ってるし、閉め忘れだったら鍵を受け取って戸締りして帰らないとだから」
「おー、なるほど。じゃ、そーちゃんが
いまマリーに電話してみてよ。俺のあんま充電ないから、電話繋がっても切れたら意味ないし」
ポケットからスマホを出して画面を見せると、そーちゃんが自分のを出してマリーに電話をする。
壮「コール音はしてるけど出ない・・・マナーモードのままなのかな?」
ほら、とそーちゃんが俺にスマホを向けるから、何となく耳を付ければ確かにプルプルプル・・・と音はしてる。
つか、その音に重なってMEZZO"の曲が微かに聞こえるような・・・?
そーちゃんのスマホから顔を離して耳をすましてみれば、確かに俺たちMEZZO"の曲が聞こえる気がするけど、そーちゃんが電話を切るとその音も同時に聞こえなくなった。
俺の気のせい?
壮「もう一度掛け直してみようか?もしかしたら今度は電話に気が付いてくれるかも知れないし」
そう言ってそーちゃんがまたマリーに電話を掛けると、やっぱりどっかからさっきと同じのか聞こえて来る。
「そーちゃん、ちょっとそのまま電話鳴らしっぱなしにしててよ」
壮「いいけど、どうしたの?」
まぁちょっと・・・と言って、何となく音のする場所を辿るようにうろうろと歩けば、直ぐにそれが分かって手招きをしてそーちゃんを呼ぶ。
「そーちゃん。なんか多分だけど、そーちゃんがマリーに電話掛けると、事務所の中からMEZZO"の曲が聞こえるっぽい」
壮「MEZZO"の?」
聞き返すそーちゃんに頷けば、そーちゃんは1度電話を切って同じようにまたマリーの番号を押す。
「やっぱり。ほら、そーちゃん耳こっちにやってみて」
事務所のドアに2人で耳を付けると、やっぱりそれは聞こえて来て。
「な?聞こえるよな?」
壮「確かに、MEZZO"の曲が鳴ってる。でも、どうして・・・」
「マリー、スマホ忘れてったとか?」