第16章 動き出した真相
❁❁❁ 壮五side ❁❁❁
三月さんと用意したコーヒーを飲みながら、何気なく壁の時計を見上げる。
愛聖さんが事務所へ向かってから、そろそろ大和さんとの約束の時間になるのに、その本人の姿も声も、まだ戻って来る様子はない。
ナ「ソウゴ?見たいテレビでもありますか?さっきから時計ばかり見てますネ?」
向かい側に座るナギくんに聞かれ、そうじゃないよと返しながら、カップから手を離した。
「大和さん、そろそろ時間が・・・」
大「だな。もしかしたら戻って来る途中かもだけど、約束だし迎えに行くかな」
「だったら僕も一緒に行きます。何かあった時の為に、その方が」
大和さんにそう言って席を立ちかけた時、それまでボンヤリとしていた環くんが、あっ!と声を上げて僕を見る。
環「そーちゃんヤバい!」
「環くん、ヤバいって・・・何が?」
環「俺、バンちゃんに携帯の充電器預けたまま忘れてた!あれがないと、スマホの充電出来ねぇし!」
それなら取り敢えず誰かのを借りればいいんじゃないかな?と返せば、王様プリンをデコった自分のじゃないとイヤだと言って、今から事務所に取りに行きたいとさえ言い始める。
環「今ならまだマリーがいれば、事務所入れんじゃん!」
「そうかも知れないけど、でも愛聖さんだって近くまで戻って来てるかも知れないだろ?」
環「そしたら鍵貸して貰って、俺がひとりで取りに行けばいいし。な、ヤマさんいいだろ?つうか、いいよな!」
大「あー・・・いいっちゃいいけど、タマは未成年だし、高校生がひとりで出歩いていい時間は過ぎてるから、タマは待ってな?オレとソウで行けばいいだろ?」
環「絶対ヤダ!俺も行くし!」
大「あのねぇ・・・」
既に出掛ける身支度をし始める環くんを宥めながら、大和さんに僕と環くんが2人で行くなら、自分は成人してるし保護者代わりになるからと提案して許可を促す。
大「まぁ、そうだな・・・ソウならタマの扱いには慣れてるだろうし・・・けど、ソウ。タマがわがままばっか言ってても、ちゃんと殴ってでも止めろよ?」
「さすがに殴ったりはしないけど、それは約束するよ。じゃあ環くん、一緒に行こう。もし途中で愛聖さんに会ったら、申し訳ないけど一緒に戻って貰えば彼女の身も安全だろうから」