第15章 shine of the palm
七瀬さんはそう言って、スタッフさんにも頷いて見せた。
「ありがとございます!さっそくで申し訳ないんですが、トリの曲はどの曲で行きますか?」
あ・・・そうか。
さっきと同じ曲って訳にも行かないってことなんだ。
陸「TRIGGERの曲を待ってるファンのみんなに、オレたちアイドリッシュセブンの曲を聞かせるのは申し訳ないと思うんです。だから、TRIGGERの曲で行きましょう」
『えっ?!』
紡「陸さん?!」
思わぬ七瀬さんの提案に、私も紡さんも驚きの声を上げる。
『七瀬さん、TRIGGERの曲をって・・・もしかして・・・?』
まさかとは思いながらも、笑顔を崩さずにいる七瀬さんに、そう、聞いてみる。
陸「だってオレたち・・・あの曲なら歌えるじゃん?」
『そうかも知れないけど、でもそれじゃ!』
ただでさえブーイングの嵐を浴びるだろうに、それなのにTRIGGERが歌う予定だった曲をアイドリッシュセブンが歌うってなれは、それ相応の・・・
陸「もう・・・マネージャーも愛聖さんも心配しすぎだって。TRIGGERのあの曲は、オレたちも好きで歌えるんだから、お客さんたちだってその方がまだいいんじゃないかな?って思うんだ。みんなもそうおもうだろ?」
一「七瀬さんの言う通りです。公の場で、しかもTRIGGERの曲を私たちが堂々と歌えるだなんて、こんな機会はそうそうないですからね」
ナ「心を込めて歌いましょう。TRIGGERの代わりに、ワタシたちみんなで・・・あの曲を」
頷きあうメンバーに、七瀬さんもまた大きく頷く。
陸「そういう事だから、準備の方はよろしくお願いします」
「はい!こちらこそ無理を言ってすみません・・・では、曲の方はTRIGGERの曲で準備を進めさせていただきます!」
ホッとした顔を全面に見せながらも、スタッフさんか慌ただしく楽屋を離れていく。
大「そんじゃ・・・オレたちはもうひと頑張りして来ますかね?」
そう言って着替え出す二階堂さんを先頭に、みんなもいそいそと準備を始める。
そんなみんなを、私も紡さんも・・・見守り続けた。