第15章 shine of the palm
紡「皆さん、お待たせしました。先程の出演ですが、プロデューサーさんからお褒めの言葉をいただきました」
アイドリッシュセブンがステージを後にする時、紡ちゃんがプロデューサーさんから呼び止められていたのはそれだったのか。
紡「アイドリッシュセブンのライヴ中継も見て下さっていたそうで、今後も頑張ってと仰っていました」
環「やったぜ!俺たちって、ちゃんと成長してんじゃん!」
三「ガムテープグルグル遊びしてたヤツが言うなっつーの!」
紡「ガムテープ?」
『あ、えっと大丈夫!こっちの話だから・・・アハハ・・・』
私が一緒にいたのになにやってんだか・・・とか、思われちゃったら恥ずかしいし、ね。
『それより、出演は終わったし後は最後まで見てから帰るか、それとも帰り支度して早めに帰るかだけど、みんなはどうしたい?』
紡「この後はスケジュール入ってないですし、明日も特に、あっ・・・」
明日もスケジュールはない、のね。
『それなら最後までここで見てからでも大丈夫ってことだよね?せっかくだから、そうしませんか?』
紡「そうですね。慌てて帰る必要もないので、そうしましょう」
『じゃあ私、飲み物でも入れます!お茶くらいなら大丈夫!お湯ならポットにあるし、飲んで死ぬような事はないですから』
寮でもお茶位はいつも入れてるし、ちょうどここにも人数分のセットは揃ってるし。
とは言っても、私でも出来るお湯入れるだけ・・・的なやつだけど。
紡さんが手帳に何かを書き込み始め、みんなが着替えを始めるのを見ながら、私も紙コップにお湯を注ぎ始めると、廊下を走る誰かの足音が聞こえて、慌ただしくドアがノックされる。
紡「私が応対します」
ちょうどドアの近くにいた紡さんが手帳を閉じ、ノックした相手に声をかけながらドアを開ければ・・・
「あ、あの・・・すみません。今、ちょっとよろしいでしょうか?」
明らかに顔色を悪くしたスタッフさんが、その場に立ち尽くしていた。
紡「はい、大丈夫ですけど・・・何かあったんですか?」
「はい、その・・・実は・・・今日のTRIGGERの出演がキャンセルになってしまいまして・・・」
TRIGGERが、ドタキャン?
大「キャンセルって、こんな土壇場でか?」
私と同じ事を思ったのか、二階堂さんもそれを言葉にした。