第15章 shine of the palm
『そ、そんな手には引っかかりませんからね!だって私の後ろには誰もいな・・・あっ・・・』
言いながらまた1歩下がれば、背中に小さな衝撃を受けて振り返る。
環「あ、悪ぃ。シャツ着てたから前見えてなかった」
『私こそごめんなさい。二階堂さんと遊んでる場合じゃなかったですね・・・』
着替えてる途中の四葉さんとぶつかってしまい、気持ちがそっちに向いたのを見てか、二階堂さんが思い切りピリピリっとガムテープを伸ばして両手を広げる。
大「タマ!これでグルグル巻き攻撃だ!ほら、パス!」
環「おーっ、なんか楽しそうだな!任せろ!」
え、嘘でしょ?!
テープの端を二階堂さんが持ち、ガムテープの本体を四葉さんに放り投げる。
環「よっしゃ!グルグル巻き開始~!」
『よ、四葉さん?!って・・・え、あ、ちょっと?!』
大「お、おいタマっ!なんでオレごとなんだ?!」
環「だってヤマさん、グルグル巻きって言ったし」
大「それは愛聖をって意味だろ!あ、こら!やめろっての!」
既に何度かグルグルされている私たちは身動き取るにも不自由な感じになっていて、変に動いたせいで向かい合った状態でお互いの体が密着してしまう。
環「カンペキだぜ!」
大「完璧って、タマ・・・お兄さんちょっと困っちゃってるけど?」
『ですね・・・私もです・・・』
ガムテープの巻き終わりを切りながら言う四葉さんが、それはホントに楽しそうで。
そんな四葉さんを見ると、私も怒るに怒れなくなってしまう。
けど!
この現状はどうにも笑えない状態なんだよね!!
私は別に、三月さんの服を着てるからなんとか平気だけど。
大「タマ・・・お兄さん、寒いよ・・・」
・・・そう。
二階堂さんは着替えの途中で私が湿布の貼り替えに声をかけたから、見事なまでに上半身・・・ハダカ状態だし。
環「ヤマさん寒いの?じゃ、早く服着ればいいじゃん」
大「どうやってだよ!ったく、あぁそうだ・・・愛聖?」
ちょっと耳貸して?なんて言う二階堂さんに、うっかり首を傾ける。
大「このままオレを・・・暖めて?」
『なんですかそれ!なんでイチイチそんなヤラシイ言い方するんですか?!』
大「ヤダなぁ、愛聖は。そんな照れなくてもいいだろ?オレと愛聖の仲なんだし?」