第15章 shine of the palm
❁❁❁ 楽side ❁❁❁
姉「天、綺麗事だけじゃこの世界は生きていけないわ。それ以前に、アンタたちは事務所の商品・・・大人の事情で、駆け引きにも切り札にも使われる。それに不満があるなら・・・路上で歌ってなさい」
どっちの言い分も分かってる。
けど、今のこの現状で俺たちがひとつ返事で帰るワケには行かねぇんだよ。
天「・・・大人の事情なら、大人同士でケリをつけて下さいって言ってるんです。ファンを盾にするような、プライドのない仕事はしないで」
天の言うことは間違ってはいない。
もちろん・・・マネージャーも。
だからといって、それを鵜呑みにして帰る事も出来ない。
「失礼します!すみません、いまさっき連絡があって聞きました・・・その、ウチの上とトラブったって・・・本当に申し訳ありません!」
現状をどうしたらいいのか考え出した矢先に、局のスタッフが俺たちの楽屋へ飛び込んで来る。
姉「ひたすら謝られたって困るのよ。それで今、そっちはどうなってるの!」
「な、なんとか説得させますから、帰る、だなんて言わずに・・・出番まで待ってて下さい!・・・すみません!お願いします!」
息が上がるほどの勢いでここまで来たんだな、この人は。
姉「ウチのTRIGGERの時間をなんだと思ってるの?!出番がないなら帰るわよ!・・・ほら、アンタたちも早く支度しなさい!」
「そんな・・・お願いします姉鷺さん!」
姉「しつこいわよ!うちの社長が出ないって決めたの!決定事項なのよ!」
「それでも!お願いします・・・お願いします!」
どれだけ出ないと決まったって言われようと、俺たちは出たいんだ。
だったら・・・
「待つよ。悪いけど、そっちは頼むな」
俺たちに出来ることは、結果が覆るように待つしかない。
「っ・・・ありがとうございます!」
姉「なに考えてるの楽!勝手な事しないで!」
「先に勝手な事をしてるのはそっちだろうが!俺たちは、俺たちを待ってるファンの前で歌いたいんだ!そっちが勝手するなら、こっちだって勝手してやる!」
姉「そんな事を言ってもダメよ。社長が決めたことは最優先なんだから」
何を言っても社長が社長がを繰り返しマネージャーに眉を寄せながら大きく息を吐く。
「親父に電話する・・・親父を説得出来たら、俺たちは出れるんだろ」