第15章 shine of the palm
モゴモゴと言う龍に小さな爆弾を落として、しれっとテレビに視線を戻す。
楽「親父が龍と同じ理由?なんだよそれ」
「さぁ?そんなに気になるなら、社長に直接聞けばいいんじゃない?・・・それより、そろそろ支度しておかないと、だよ」
放送を見る限り、TRIGGERの順番はまだまだ後だけど。
生放送なんて、何が起きるか分からないから。
順番が入れ替わってしまったり、都合でドタキャンになったり。
どんな事があっても、冷静に対応出来るのがプロの仕事。
ボクたちを待っていてくれるファンのみんなが、来て良かったって思えるようなステージを届ける。
それが・・・プロとしての、仕事だから。
ちょうどCMに入ったところでテレビを消し、衣装に着替えようかと立ち上がった所で、楽屋のドアが勢いよく開けられマネージャーが飛び込んで来る。
「支度なら、今すぐ出来るから」
ボクたちを見る視線が険しくなったところで、きっとまだそんな格好なのかを問われると思い言えば、返って来た言葉はそんな言葉ではなく。
姉「今日の出演は中止よ!今すぐ帰る支度をしなさい」
この放送の流れで中止?
楽「中止って、なんでだよ。もう客だって入ってるのに、帰れるワケねぇだろ」
姉「いいからアタシの言う通りにしなさい。サウンドシップにTRIGGERは出ないわ・・・社長がこの局の上とモメて、TRIGGERは出さないって決めたの」
楽「どういう事だ?俺たちに分かるように説明しろよ」
姉「・・・大人の事情よ」
大人の事情・・・?
「納得出来ません!ファンはボクたちに会いに来てるんだ。それなのに、こちらの都合で失望させる訳には行かない」
消したばかりのテレビに、さっき見た・・・ボクたちのファンの子たちを思い浮かばせる。
ボクたちは・・・ボクたちを待つファンの為に、帰ることなんて出来ない!