第15章 shine of the palm
「本当にすみませんでした・・・あ、それより移動を早めにお願いします!」
『分かりました。支度は整ってますから、このまま行けます』
スタッフさんは生放送中なので遅れないこと、それだけを念押しして、もう1組にも声を掛けてくるのでと言い残して足早に去ってしまう。
『まさかファンの子に間違えられるなんて、ちょっとびっくりですね・・・私もまだまだって感じかな?』
自虐するかのように肩を竦めて笑えば、その視線の先では二階堂さんが背中を向けて小刻みに肩を震わせている。
大「や、やばい・・・いまのはツボる・・・」
なんか・・・凄い敗北感を感じるのはなぜだろう・・・
『二階堂さ~ん?なにがそんなに楽しいんですかぁ?』
中学生みたいだと言われた直後にスタッフにも間違われた事が悔しくて、いつまでも背中を向けて肩を震わせている二階堂さんにそろりと近付き、背筋をススッ~と指先で擽る。
大「ぬわぁっ?!や、やめろ・・・!」
ビクッと体を震わせて叫ぶ二階堂さんの顔を覗き込み、してやったりと目を細める。
『二階堂さんの弱点、見~つけた!今度から、意地悪されたらココを攻めることにしよっと!』
普段は何かとドキドキパニック的な意地悪やイタズラをされているから、そんな二階堂さんの弱点を見つけ小さく歓喜する。
大「あー、言っとくけどな?それがオレだけの弱点だと思うなよ?っと」
『ひゃぁぁぁぁぁ!!!』
大「なんつー悲鳴・・・ま、反撃成功!」
ぞわわっとした背中に悲鳴を上げて、それ以上の反撃をされないように壁に背中をくっつける。
『な、ななな・・・何してるんですか二階堂さん!』
大「なにって、反撃?でも、そこが弱点なのはオレだけじゃなかったろ?」
く、悔しい!
弱点を見つけた直後に・・・自分の弱点を増やすとか・・・
大「さてと、遊びの時間はこの辺でおしまいな?よしみんな支度出来てるよな?行くぞ・・・オレたちのステージに!マネージャーはともかく、お前もちゃんとついてこいよ、サブマネさん?」
『分かってます!』
もぅ!とひと声出して、みんなの後へ続いて楽屋を出る。
そんな私の背中はまだ、ぞわぞわとした感触が残っていた・・・