第15章 shine of the palm
私はいまこの場に、ちゃんと両足をつけて立っていられるだろうか・・・
部屋の隅で蹲り、ただただ時間だけが過ぎていくのを感じるだけかも知れない。
なのに、愛聖さんは・・・ちゃんと顔を上げて、前を見ている。
そんな姿を見ていて、社長がどれほど支えになっているんだろうと言ったら、社長は・・・
小「それは僕の力じゃないよ。彼女の、愛聖さんの中にしっかりとした教育と、人に恥じないように生きる事を教えた人がいるからだよ」
なんて言ってたけど。
人に恥じないように生きる事。
私にはまだ、難しい生き方だなと思ったりもして。
環「マネージャー?さっきから変な顔してっけど、腹減ったのか?」
「え?!」
大「タマ・・・お前じゃないんだから、そう簡単に腹減ったりはしないっての」
環「だって、ずーっと変な顔してたから」
環さんが気にするほど、私はそんなに変な顔を?!
慌てて表情を解すように両手で頬をグリグリと回す。
『四葉さん?いくら四葉さんが紡さんの事を大好きだからって、話し合いしてるのによそ見はダメですよ?』
クスクスと笑いながら愛聖さんが言えば、環さんは確かにマネージャーは好きだけど・・・なんて言って髪をガシッと掻いた。
環「あ、でも!俺はマリーだってちゃんと大好きだかんな?知ってると思うけど」
『はい、ちゃんと伝わってますよ?だから、今は本番に向けての話をしましょう?』
環「ぅす」
いとも簡単に環さんの集中を話し合いに戻すあたり、さすがです・・・愛聖さん。
いつだったか大和さんが愛聖さんに言っていた、モンスター使いという称号を思い出し小さく笑う。
「私も愛聖さんの事、大好きです」
だから、これからもずっと・・・輝いていてください。
そんな思いを込めて、微笑んでみる。
『あ、ありがとう・・・ございます』
大「な~に照れてんだよ」
『もう!すぐ二階堂さんはそうやって!でも、紡さんにそう言って頂けると、本当に嬉しいです』
照れた感じで微笑む愛聖さんが眩しくて、私はそんな愛聖さんに・・・目を細めた。