第15章 shine of the palm
❁❁❁ 紡side ❁❁❁
『この間奏の部分は、二階堂さんの歩幅だと少しゆっくりめに進むのがいいと思います。私の歩幅での数だと9歩ありましたから、二階堂さんなら5歩くらいかと』
大「なるほど・・・ゆっくり5歩で、か」
リハから戻られた皆さんとテーブルを囲み、愛聖さんと一織さんが切り離したノートにステージのラフ画を描き、リハに参加出来なかった大和さんに分かりやすいようにして、本番への打ち合わせを始めている。
『それから二階堂さんがやりたかったとかいう、ラストのアレですけど、その部分は3カメさんが二階堂さんを大きく抜くそうです。リハのあと確認してきましたので、カメラのランプに惑わされることなく正面を向いていて下さい』
三「スゲーな愛聖、そんな事まで確認して来たのか?」
愛聖さんの発言に、三月さんが感嘆の声を上げる。
『たまたまですよ?カメラチームのリーダーさんが、知ってる方だったので』
愛聖さんは、社長が連れて来るまでは八乙女プロダクションに所属していて、いろいろな仕事をして来た人材でもあって。
だからこその繋がりをたくさん持っていて。
まだまだ右も左も分からない私には、こういう時とても有り難いと思う。
私は駆け出しの新人マネージャーで、まだそういった繋がりはあまりないから。
それを愛聖さんもご存知だから、私が社長の代わりに愛聖さんの同行者として一緒にいる時は、いろんなスタッフや、プロデューサーと顔を合わせる度に私を紹介してくれて。
『彼女は今日は私に同行してくれてますけど、本来はアイドリッシュセブンのマネージャーなんです。局内で見掛けたらいろいろと御指導をよろしくお願い致します』
とか、それはもう素敵な笑顔で。
そういうのを見ていると、愛聖さんが本当に凄くアイドリッシュセブンを好きでいてくれて、応援してくれているんだと実感する。
それになんと言っても・・・あのRe:valeやTRIGGERのメンバーに対等に物を言える所も尊敬しちゃうというか。
あんな大変な事があったと言うのに、それでも堂々と仕事に向き合う姿さえ、きっと愛聖さんを素敵に輝かせているんだと思うと、同じ女性として頑張らないと!って思えるし。
もし、あの事件が私に起きた事だったら・・・