第2章 尊敬から恋への変化
それからというもの、本当にこまめにに声をかけている。だが、それ以上どうこうしようとは思っていなかった。
自分達は兵士を目指して日々、血を吐くような訓練を重ねている。恋人を作って睦言を交わしている場合ではないのだ。
もちろんリヴァイも男であるので、恋愛らしい事を色々としてみたいという願望がない訳ではない。
だが今は、の顔を見てその声を聞けるだけで十分だった。
「どこが苦手なんだ?俺が練習相手になってやろう」
リヴァイの言葉にの顔がぱぁっと明るくなる。
「リヴァイ先輩に練習に付き合っていただけるなんて、嬉しいです!!」
ニコニコしながら、が話し始めた。
「私は基本的に、相手の勢いを利用して受け流すようなスタンスで戦っています。筋力向上には努めていますが、力勝負になると、どうしても不利です。相手とのつかみ合いになってしまった時、どうしたらいいのでしょうか?」
の話を聞いて、リヴァイも頷く。
確かに、純粋な力勝負になったら、の体格では不利だろう。
「…分かった。取りあえず、今のお前の実力を確認する。組み手だ、自由にかかってこい」
リヴァイは上着を脱いで、身構えた。
実際に組んでみで、リヴァイはの筋力を見誤っていた事を痛感させられた。
もちろんリヴァイには適わない。だが、これだけの力があれば、たとえ力勝負になったとしても大抵の相手は吹き飛ばされるだろう。
ここまでの実力を持ちながら、なお努力できるのは、のあくなき向上心の賜物と言えるだろう。
「まず、自分より圧倒的に強いものに捕まった時は、どんな方法でもいいから、まずはそいつから離れろ。もがいている時間が無駄だ。そして、そもそも捕まらないような素早さを徹底的に身につけろ」
何度かリヴァイに投げ飛ばされたは、より一層泥だらけになりながら、コクコクと頷いて聞いている。
真剣なコバルトブルーの瞳がとても美しいと思った。