第2章 尊敬から恋への変化
リヴァイが訓練校の三回生になった時、が入校してきた。立体機動を使った森での訓練を一緒に行った事をきっかけに、リヴァイとの距離はどんどんと縮まっていった。
ある日、1日の訓練プログラムが終わってからリヴァイが訓練場に行くと、が自主トレーニングをしているところだった。
「よう」
リヴァイが声をかけると、が振り向く。白い肌に、玉のような汗が浮いている。
「リヴァイ先輩!」
リヴァイの姿にの顔には笑顔が浮かんだ。
「自主トレか?真面目だな」
「先輩は、なぜ訓練場に?」
実を言うと、リヴァイも自主トレをしに来たのだ。だが元来、必死な姿は誰にも見せたくないタチであるため、適当に話を濁した。
「俺は散歩だ」
リヴァイはチラリとの姿に目をやる。身体のどこもかしこも土埃だらけだ。
「…対人格闘術の練習か?」
「はい、どうしても上手くいかないところがありまして…」
「前に一度訓練の様子を見たが、同期にはもう敵はいないレベルに達しているように思えたが?」
リヴァイは、初めてを見た時の事を思い出していた。
あの時、は自分よりずっと上背も体重もある男性兵士をいとも簡単に投げ飛ばしていた。その鮮やかな格闘術に思わず感心したのを覚えている。
「えっ、いつご覧になっていたんですか?!」
はリヴァイに見られていた事を知り、少し頬を赤らめた。
(…可愛い奴だ)
初めて見た時から、リヴァイはの事が気になっていた。
非常に整った容姿であるため人目を引くということもあるが、リヴァイが気に入ったのは、その技術の高さと、度胸の良さだ。もちろん、の可愛らしい姿も気に入っている。
だかそれはまだ、好意というよりかは興味といった感情に近かったかもしれない。
はっきりと感情が変わったのは、合同訓練の時だった。
間近での実力を見て、素直に感心した。それにには意外にも、ちょっと抜けた所があった。完璧に任務をこなす一方、それとは対照的に、思わず庇護欲をそそられる子どもの様な泣き顔。小柄で童顔な分、余計にそう見える。
有り体に言えば、リヴァイは恋に落ちたのだ。