第3章 合同演習
「泣くなっ!早く立て」
「うぇ~…」
手を取って立ちあがるよう催促するが、は泣きじゃくったままだ。よっぽどショックだったに違いない。まだ若い女の子だ。男だってこんな状況、ショックを受けるだろう。
「……」
これはしばらく泣きやみそうにないなと、リヴァイは思った。
「しょうがねぇな…」
言うが早いか、リヴァイはを背負うと立体機動装置を発動させた。
「せっ…せんぱいっ…!汚れます…っ!!!」
が涙声をあげるが、リヴァイはすぐに制する。
「もうとっくに俺もクソまみれだ」
「うぅっ…うぇ…、せ、せんぱい、ごめんなざい~…っ…く、くさいです…うぇ~…」
「分かってる」
リヴァイは思わず笑ってしまった。
森を抜けるまで、は「くさいです」「べちゃっとしました」と繰り返しながら泣き続けていた。
訓練場に戻ると、リヴァイは真っ先に水道へと向かった。途中、一回生らしい女性訓練兵を見つけると、の着替えを持ってシャワー室に来るよう伝えた。
「オラ、さっさと落とすぞ」
水道の前にを立たせて、頭から水をかける。ついでに自分の身体についた汚れも一緒に洗い流した。訓練場に戻ってきた頃にはも少しは落ち着いてきたようで、泣きやんでいた。だが、相変わらず放心状態は続いていて、目がうつろである。
あらかた汚れを洗い流すと、リヴァイはの小さな手を引いてシャワー室へと向かった。先ほど声をかけた女性兵士はすでに着替えを持ってシャワー室の前で待ってくれていた。
「、いつまでぼーっとしてんだ!さっさと身体を洗ってこい」
ポンとの頭を軽く撫でてから、後の介抱はその女性兵士に任せてリヴァイはその場を去っていった。