第3章 合同演習
初めての姿を見かけたのは、闘技場であった。
2m近い大柄な男性兵士を相手に対人格闘訓練を行っている、えらくちびっこい女がいるなと思った。
同期から「あれが、・だ」と言われ、「あれが…」と思った次の瞬間には、大柄な男が地面に転がされていたのだ。あの細腕の一体どこにそんな力が?と思わせるような、実に鮮やかな体術であった。
その次に見かけたのは、食堂だ。斜め向かいに座った時に、間近でその顔を初めて見た。やや栗色がかったセミロングの髪を、後ろですっきりと束ねている。肌は陶器のように白く滑らかで、大きな瞳は吸い込まれるようなコバルトブルーだ。うっすらとピンク色に染まる小さな唇。小柄で華奢な肢体。
リヴァイが思わずまじまじと見つめてしまうほど、整った容姿である。俗に言う美少女というやつだろう。
はっきり言ってリヴァイはモテた。言い寄ってくる女が多すぎて、女にはうんざりしていた。だが、の整った容姿のせいもあるのだろうが、どうしてだかの姿だけは目で追ってしまうのだった。
(俺のペアにしたのは、まぁ、役得だろう)
ザザザッと森の中を4名が駆け抜ける。巨人を想定した模型のうなじを、ブレードで削ぎ取っていく。
(斬撃の深さも、女でここまで切れれば十分だ)
リヴァイはの能力の高さを間近で見て、素直に感心した。
一方のはというと、班編成を知った瞬間から内心冷や汗をかいていた。
(憧れのリヴァイ先輩の技術を間近で見られるなんて、こんな幸運なことはない。…だけど、絶対にヘマはしないようにしないと…!ヘマして怒られるなんて…絶対ヤダ!!)
ブルっとの背中に寒気が走った。