第7章 勝てない相手
一度目の誘いは無視したリヴァイだったが、何とハンジは2階にあるこの部屋にまで勧誘にやって来たので、さすがのリヴァイも閉口した。
「ねー、面白そうだしやろうよ!優勝者にはエルヴィンがなんか賞品を出してくれるらしいし」
「うるせぇ。ガキの遊びに付き合ってられるか」
「えー!そんなこと言わないでさ」
「しつこいぞハンジ」
「ちぇー、じゃあいいよ。、行こっ」
「えっ」
ぱっと身を翻したハンジは、の手を取って部屋を飛び出していった。あまりにもとっさのことだったので、当の本人であるですら何が起こったのか分からずに、ポカンとしたまま引っ張られていった。
驚いたのはリヴァイも同じだ。
「クソメガネ!!」
ドウッと、床板を踏み割りそうな勢いで蹴って、リヴァイがその後を追う。その視線の先にはの姿しか見えておらず、普段の冷静さなど見る影もなくなっている。
まるで戦車のように猛烈な勢いで追いかけてくるリヴァイを見て、ハンジは「あははは」と笑い声を上げるとを担ぎ上げて、走る速度をさらに上げたのだった。
結局、腕相撲会場までハンジに誘導されてしまったリヴァイは、無事に取り返したの手を握ったまま眉間にシワを寄せていた。
そこへ、額に汗を浮かべ年甲斐もなく子どものような無邪気な笑顔を浮かべたエルヴィンがやって来た。
「やぁリヴァイ。もこんにちは」
調査兵団の団長ともあろう者が、ガキに混じって何を遊んでいやがる。
そう思ったリヴァイだったが、普段にはない生き生きとした表情を浮かべるエルヴィンを見て、たまにはいいかと思い直した。こいつにも、こういう息抜きの時間が必要だ。
だがそんなほのぼのとした気持ちも、次の一言でぶち壊されることになる。