第1章 出会い
だが、壁内で過ごす穏やかな時間は短い。
前回の調査からほとんど日も経っていないというのに、また壁外調査を行うこととなった。人類最強とは言われていても、死の危険は他のどの兵士とも同等に持っている。自分には武力があったがために、今まで幾度もの壁外調査に加わってきたが、幸運にも命をつないでいるだけの事だ。
壁外調査に出発する前日、リヴァイは衣類修繕室に行かなかった。絶対に生きて帰るという強い決意の表れでもあり、何だかの顔をまともに見られないような気がしたからだ。本当に自分が情けなくなるが、もしの顔を見たら、泣いてしまうかもしれないと思ったのだ。
調査兵団の一行が壁外へと飛び出していく様子を、は離れた場所から見送った。
勢いよく駆け抜けてゆく先頭集団の中に、見慣れた顔が見える。
「リヴァイ兵長…どうかご無事で」
は、不安で張り裂けそうな胸の前で、きつく両手を握り締めた。