第6章 Everything about me is yours
そしてついに迎えた、結婚式当日。
塵一つ無く磨き上げられた小講堂に並べられたベンチには、花で作られたコサージュを胸元に付けた参列者の姿。
会場ではなく人に装飾するというのは、こういう事だったのだ。
これならば、大量のゴミを出すこともなく、尚且つ会場が華やかになる。
「えー、ではこれより、リヴァイ・アッカーマンと・の婚儀を執り行う。新郎新婦、入場!」
会場前方の壇上に上がったピクシスが、重厚な口調ながらも、明るい笑顔を浮かべて言った。
彼はこの日のためにわざわざ駐屯兵団本部から赴いてきてくれており、実行本部長であるエルヴィン、プランナーのハンジと入念に打ち合わせを行っていた。
エルヴィンは、メンバーから受けた一切の進捗状況報告を紙にまとめて計画にぬかりが無いか繰り返しチェックしており、作戦が正確に進行するよう舵取りをしてきた。
その緻密さが天にまで通じたのか、今日は、目が痛くなるほど清々しく晴れ渡った秋晴れである。
結婚式の準備に取り掛かったのは、夏の中頃であったから、実にひと月以上をかけて準備を行ってきたことになる。
エルヴィンがゆっくりとヴァイオリンを奏で始めると、皆は一斉に、後方の扉に顔を向けた。
意外な特技だが、エルヴィンは楽器が弾ける。その腕前は中々のもので、本当に育ちが良い。