第6章 Everything about me is yours
会場の装飾係を任された幼馴染3人組は、まずは会場の確保から取り掛からねばならないと思っていたが、そこはすでにエルヴィンが手を回していた。
調査兵団本部は、規模こそ大きくないがそれなりに設備は整っている。
兵士達の生活に必要不可欠である食堂や入浴施設はもちろんのこと、会議室、多目的室、集会や新兵の入団式を行う講堂などがあり、の勤務する衣類修繕室を含め、他にも様々な施設がある。
講堂には、大講堂と小講堂があり、使用許可さえ取れば、誰でも使用することができるようになっているのだ。
なので兵士達は、仲間内の祝い事をする時などは、この講堂を利用することが多かった。
リヴァイ夫妻の結婚式への参列者は、多く見積もっても15人程度であろう。そう考えると、大講堂ではなく小講堂の方が規模的に丁度良い。
例の食堂での第一回作戦会議のすぐ後、エルヴィンに呼び止められて、すでに会場を押さえてある事を知らされた。
相変わらずの手際の良さに素直に感心して、3人は早々に装飾道具の準備へと取り掛かったのだった。
装飾といっても、紙や布を無駄にすることはできないし、式が終わった後にゴミになってしまってはダメである。意外にも難題を突きつけられ、エレンとミカサは少し考え込んでしまったのだが、アルミンの機転によってそれは解決された。
装飾といっても、何もゴタゴタと飾り付ける必要はないのだ。リヴァイはやや潔癖気味とも言えるほどの綺麗好きであるし、はシンプルなものが好きな質である。
あえて会場には何も飾りつけは行わず、その代わり、塵一つ無いほど徹底的に掃除をする。
そして会場にではなく、人に装飾を行うことにした。