第6章 Everything about me is yours
リヴァイ夫妻の結婚式に向けてそれぞれのメンバーが、日常業務の合間を縫って準備を進めていた。
まずプランナーのハンジは、式の大まかな流れを考え、それに伴う演出を検討した。
彼女の感性は常人とは少し異なるところがあり、それが面白いアイディアに繋がることもあれば、エルヴィンからストップのかかるものまで飛び出してくる。
プランナー補佐として、後日実行委員会に参加したモブリットが、ハンジのぶっ飛んだアイディアを何とか緩和してくれていた。
衣装の準備を任されたリヴァイ班の熱の入れ様は、実行委員メンバーの中でも群を抜いていると言っても過言ではないだろう。
ウェディングドレスとタキシードを手作りするところから始めるというのだから驚きである。
とは言っても、裁縫に関しては全くの素人である彼らに、最初からこのような難易度の高い衣装が作れるはずもない。 自分達で作るのではなく、彼らはある人物に依頼しに行ったのだ。
その人物とは、の裁縫職人としての師匠である女性であった。彼女はウォール・ローゼで仕立て屋を営んでおり、お抱え職人と、数人の弟子を取っていた。
は幼い頃からそこで弟子として修行を重ね、職人になってからもお抱え職人として働いていたのだ。
が調査兵団の衣類修繕室で雇われるきっかけになったのも、その師匠の口利きによるところなのである。
とにかく、そんな一部の人間しか知らない情報を調べ上げ、わざわざ依頼をしに行ったリヴァイ班の面々の熱意は、並々ならぬものがあると言ってよいだろう。