第6章 Everything about me is yours
「いや…何というか、驚いている。本当に、俺達の結婚式をやるつもりなのか?」
リヴァイの言葉に、
「「やりますっ!」」
ガタンッと椅子を鳴らして、ミカサとぺトラが食い気味に言う。ミカサ同様、ぺトラも結婚式に対する憧れは強い。
「さんは…嫌?」
ミカサが少し勢いを弱めて、自身の隣に座っているに問う。
の事を姉のように慕っているのは何もエレンだけではない。
ミカサとアルミンも、には色々と気にかけてもらっており、その包み込まれるような優しさにいつも救われているのだ。
3人とも幼い頃に両親を亡くしているため、自分達で何でも乗り越えるしかなかった。自分の親類・縁者以外の「大人」からの庇護を与えてくれたのは、が初めてだったのだ。
「嫌じゃないよ、ミカサ」
不安げな表情を浮かべるミカサのツヤツヤと光る黒髪を撫ぜて、が笑った。
「ありがとう。本当に嬉しい」
その言葉に、その場にいた全員がホッと胸をなでおろした。実を言うと、リヴァイもその中に含まれている。
と一緒にいることが当たり前になりすぎて、本当にうっかりと、そもそものところを忘れてしまっていた自分に、時間が経つにつれてどんどんと罪悪感が募ってきていたのだ。
なにせ今日の昼に判明した事実だ。ゆっくりとの気持ちを聞く前に、このような会に引っ張り出され、話が進んでしまっている。
彼女が心の中でどう思っているのか、夫であるリヴァイですらまだ確認できていなかったのである。
「よし。それでは各自準備に取り掛かれ。本日は、これにて解散!」
エルヴィンの号令で、各々は食堂を後にした。