第6章 Everything about me is yours
その視線の先に座っていたのは、腕を組んでむっつりと顔をしかめているリヴァイと、肩を小さく縮こまらせて、きゅっと握った手を膝に置いているだった。
「…どういう状況だ、これは」
「えっと…?」
リヴァイ夫妻からは、エルヴィンの問いかけにどう答えたらよいものかと戸惑っている様子がありありと伝わってくる。
この夫婦は、はともかくとして意外とリヴァイも押しに弱いところがある。他人からの好意を無下にはできないのだ。
今日の昼前に話していた事が、夕食時にはにわかに現実味を帯びた話になってしまっている。しかも、本人たちの知らないところで。
そしていつの間にか実行委員会なるものが結成され、その会議に引っ張り出されている。
リヴァイ達でなくても、目を白黒させてしまうような状況だ。
「突然でびっくりさせてしまったかな」
歯切れの悪いの言葉に、途端にエルヴィンが眉を下げて申し訳なさそうな顔になる。
「やるにしても、まずは君達2人の了解を取ってから、と思ったんだが」
本業が本業だけに、何か計画する時には、それが仕事であれ遊びであれ抜かりなく準備するのがエルヴィンの流儀だ。
周りだけで勝手に盛り上がり、当人達を置き去りにしてしまっては、せっかくの催しも台無しになってしまうという配慮から、2人に意見を求めたつもりだったのだ。