第6章 Everything about me is yours
あまりにもリヴァイが黙っているものだから、何かいけない事でも言ってしまったのかと不安になったエレンが、恐る恐るといった体で声をかける。
「あの…兵長?」
「…してない」
「え?」
ボソリと呟かれたリヴァイの言葉がよく聞き取れなかったため、エレンは聞き返した。
「…結婚式は、してねぇ」
「「「えっ」」」
揃って上げられた驚きの声は、見事に重なっていて、幼馴染3人の仲の良さを表現しているかのようだった。
だがこれは、それだけが理由ではないような気がする。
「してないんですかっ?結婚式っ」
食ってかかるようにしてミカサがリヴァイに迫る。
ミカサは、そのクールな性格と、男性兵士顔負けの抜群の身体能力の高さを持っているが、その内面は驚く程女性らしい。
服装も暖色系のものを好むし、家事も得意である。当然、一般的に女性が憧れるものに対しては、並々ならぬ執着を持っているのだ。
「そういえば…してないですねぇ」
渦中の人であるにも関わらず、のんびりとした声を上げる。
そんな彼女の腕の中にあるシーツを受け取ってやりながら、リヴァイが再度言った。
「してねぇ…な」