第6章 Everything about me is yours
ビン、ビン、とロープが揺れる。
向こうの方で、リヴァイがロープを結び直しているのだろう。ロープにかけられたシーツが、ヒラヒラと揺れる。
はためくシーツの前に立っているを見つめて、ミカサがぼうっとした表情をして呟くようにして言った。
「ウェディングドレスみたい…」
「えっ?」
突然発せられた言葉に、がキョトンとして目を丸くする。
「本当だ…さん、まるで花嫁さんみたいですよ」
ミカサにつられてアルミンも、見とれるようにして言った。
「すっげぇ綺麗っす!あぁ、さんの花嫁姿、すっごく綺麗だったんだろうなぁ」
エレンが子犬のようにはしゃぎながら、の周りをピョンピョンと飛び跳ねるようにして回っている。
そこへ、ロープを結び終えたリヴァイがやって来た。
「何をやっている?さっさと作業に戻れ」
ジロ、と眉間にシワを寄せて睨んでくる上官に、ビクッと萎縮しながらも、そこはやはりエレンである。勢い込んで言った。
「兵長っ!さんの花嫁姿、すっごく綺麗だったんでしょうね」
こぼれそうに大きな瞳をキラキラと輝かせて、エレンが笑う。
彼は、何くれとなく世話を焼いてくれるの事を姉のように慕っており、兵士の先輩ではないという気安さから、兵団内でも数少ない心を許せる相手だと思っていた。
「……」
エレンの言葉に、リヴァイはシーツに埋もれているの姿に目をやって、それから少しの間、時が止まったかのようにその姿を見つめていた。