第4章 病気
そう言ってから、リヴァイは布団を出た。
出勤の準備をするためだろう、とが布団の中からその動きを目で追っていると、意外な事にリヴァイはエプロンを付け始めた。
「…?」
「よ、食欲はあるのか?」
「??あります…」
「そうか、なら少し待ってろ」
「??!あのっ、りばいさんっ」
がばっと、が起きあがった。
「なんだ?病人がでけぇ声出すんじゃねぇよ」
三角巾を付け終わったリヴァイが、怪訝な表情で振り向く。
「そろそろ、出勤の準備をしないといけないのでは…?」
「今日は俺も休む。たまには有給使ったっていいだろ」
「え…」
ベッドの上ではポカンと口を開ける。
「それとも、俺がいない方がいいのか?」
にや、と笑いながらリヴァイが近づいてくる。
「そんなことっ、嬉しいです!」
ぶんぶんとがつい、いつもの癖で頭を振った時、その視界を星がチカチカと舞った。
「あー…」
高熱を出している時にそんな事をすれば、めまいが起きて当然である。
「おいおい、いいからもうおとなしくしとけ」
倒れかかったの身体を支え、ゆっくりと横たわらせながらリヴァイが呆れたようにため息をつく。
「はい…じゃあ今日は、一日中りばいさんと一緒にいられるって事ですね」
首元まで布団をかぶせられたがリヴァイの顔を見上げながらニコと笑った。
「そういうこった。しっかり休めよ」
少しの間熱い手を握っていてやると、は安心したのか静かに眠り初めた。
「さて、今の内に…」
リヴァイは台所に向かうと、手際よく食事を作り始めた。
独身生活が長く、かつ潔癖症…もとい家事能力も高いリヴァイは、大抵の事はできた。さっさと朝食を作り終えると、休みの報告をするべく、兵服に着替え兵団本部へと向かった。
出かける前に寝室を覗いてみたが、はまだぐっすりと眠っているようだった。そっと、熱い額に濡れたタオルを置いてやってから、家を後にした。