第3章 買い物
「連れは俺だが。、すまねぇなクソしてたら遅くなった」
そう言ってリヴァイは、と男達の間に立ちふさがると、自分よりも随分高い位置にある顔を睨み上げた。
「リヴァイさんっ」
ほっとした表情を浮かべて、がリヴァイの名を呼ぶ。
呼ばれた名前に、男達の表情がギョッとしたように固まり、みるみるうちに色を失っていった。
「え……リ、リヴァイって…まさか…」
「あの、人類最強の…?」
目の前ではボキボキと指を鳴らし始めたリヴァイが、端正な顔に青筋を浮かべながら口の端を吊り上げている。
「さぁてな…」
リヴァイがわずかに動く気配を見せた瞬間にはすでに、男達は「きゃああ」と声をあげて走り去っていた。
「ちっ…、二・三発ぶん殴ってやりたかったのに」
もちろん、本気で殴ろうと思っていた訳ではない。
仮にも兵士長という立場にある自分が一般市民を殴ったとあれば、いささか面倒な問題になるだろう。
それに、いくら頑丈そうな男達とはいえ、人間の力など遙かに凌駕する力を持つ巨人達と日々戦っているリヴァイの拳を受ければ、ただでは済まない。プロのボクサーが赤子を殴るようなものだ。