第3章 買い物
何軒目かに入った店はアクセサリーショップであった。
は相変わらず様々なものを見ては、きゃあきゃあと歓声を上げている。決してねだっている訳ではない。ただ単に、本当に純粋に、は商品を見て楽しんでいるのである。
その姿を見てリヴァイはふと、ある事に気がついた。
(そういえば、から物をねだられた事なんて、一度もねぇな)
彼女から物を要求してくる事など、今の今まで一度もなかった。むしろ彼女は自分のために金を使わせることに遠慮をしていて、至極控え目である。いつも、リヴァイがやや強引に彼女に物を贈っている。
しかし、そんなリヴァイの好意を無下にしたことももちろん一度もなく、リヴァイが贈ったものはいつも笑顔で受け取り、ややはにかみながらお礼を言ってくれるのだ。
そんな彼女の顔を見ると、リヴァイはいつも、次は何にしようか…などとすぐに思ってしまう。
「おい、何か欲しいものはねぇのか?久しぶりの外出だ。何でも買ってやる」
唇の端を少し上げて、リヴァイなりの笑顔でに問いかける。
この少し影のあるような、ニヒルな、それでいて少し照れくさそうなリヴァイの笑顔がは大好きだった。
周囲の人間から見たらデレデレに溶けきっていると思われてもおかしくない。
リヴァイの言葉には少し思案したあと、やや遠慮がちに口を開いた。
「リヴァイさんと、おそろいの物が欲しいです。離れていてもリヴァイさんを近くに感じられるようなもの…」