• テキストサイズ

【進撃の巨人】夫は人類最強の男

第3章  買い物


 手をつなぎながらのんびりと歩いているうちに、大勢の人でにぎわう商店街が見えてきた。

「わ~、にぎわってますね!こんな風に買い物に来るのなんて、すごく久しぶりです」

 滑らかな白い頬をやや上気させたが、嬉しそうな声をあげる。

「リヴァイさん、早く早く」

 小さな手がリヴァイの骨ばった大きな手を握り締め、ぐいぐいと引っ張っていく。
 普段の彼女は分別をわきまえた(時にわきまえ過ぎて遠慮がちになってしまうが)、ややおとなしめの性格である。当初はリヴァイも彼女は物静かな人なのかと思っていた。
 しかし自分が心を許した相手に対しては、その大人の仮面が少しだけ外され、無邪気な子どものようになるのだ。おまけに少しイタズラっぽいところもある。だが、いたずらといっても決して悪質なものではなく、思わずこそばゆくなってしまうような可愛らしいものばかりだ。
 小柄でやや幼い顔立ちの彼女がその様に振る舞う姿は、リヴァイの目には何とも可愛らしく映り、ますます大切にしたいという思いを強くさせる。

「そんなに引っ張んな…店は逃げねえから。転ぶなよ?」

 調査兵団という組織の中で見せるリヴァイの粗暴さは、の前ではどうしたことか、なりをひそめてしまう。 口の悪さは生来の物なので内容自体はあまり変わらないが、その口調にはまったくトゲがない。
 おそらく兵士達が今のリヴァイを見たら、あまりの気味の悪さに数日間寝込んでしまうかもしれない。それほどに、リヴァイもまたの前では穏やかに過ごす事が出来ていた。

「転びませんよ!子どもじゃないんですか…らっ」

 やや憤慨したような表情をしてが振り向いた瞬間、その華奢な身体が傾いた。

「ちっ、言ってるそばから…」

 くん、と繋いでいた手を引き、それと同時に折れそうに細い腰を引きよせてやる。

「きちんと前を向いて歩け。怪我なんかしやがったら、しばらく外出禁止だからな」
「ご、ごめんなさい」

 えへへ、とバツの悪そうに、リヴァイの腕の中では苦笑いをした。

/ 70ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp