第3章 買い物
久々の休日に、リヴァイはと街へ買い物に繰り出した。
特に買う物がある訳ではない。だが、この人類の安寧のためだけに築かれた狭い壁内に、恋人達が楽しめるような施設などは無いので、ウィンドウショッピングでもしてを楽しませてやろうと思ったのだ。
が何か欲しがれば、何だって買ってやろう。全くリヴァイのガラではなかったが、が喜ぶのなら何だってしてやりたいと思っていた。
日頃、狭い部屋の中でこまごまとした仕事をしているせいで、外を出歩く機会も少ないだろう。自分は頻繁に壁外や内地に赴き、そのたびに心細い思いをさせてしまっている。休みもあまりないから、ゆっくりと二人で過ごせる時間も少ない。せめてたまの休日くらいは、目いっぱいサービスをしてやりたかったのだ。
晴れ渡った青空に、頬を撫ぜる風が心地よい。のやや栗色がかった長い髪がサラサラと風に舞っている姿を見て、
(美しい)
などと、ガラにもなくリヴァイは思い、揺れる髪にそっと手を伸ばして耳にかけてやった。
「ありがとうございます、リヴァイさん」
暖かい陽だまりの中で、ニコリとが笑った。